社員研修は企業の経営理念をより理解するためや、今後のビジネスシーンで役立つ知識・情報を習得するために開かれるものです。
しかし研修によっては、参加した社員に残ったものが「疲れた…」という疲労感だけだったというケースも少なくありません。
研修会は大事な人材育成の場でもあります。運営側は参加する社員に研修内容を理解しやすいよう工夫してあげることが大切です。
新しい知識を得る際は普段使われていない様々な脳内メカニズムが動きます。そのため、研修参加者は普段よりも多くのストレスを受けてしまうのです。とりわけ研修という緊張状況の中で聞く難解な内容を、聞くことに必死で理解までできなかったという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そこで、おすすめしたいのが研修会で使えるゲームを取り入れることです。
研修会でゲームを取り入れるメリットとは
「ゲームに時間を割くなんて時間がもったいない」と感じるかもしれませんがそんなことはありません。研修中にちょっとしたゲームを取り入れることで参加者の理解度やモチベーションが高まり、受講効率が上がります。ひいては、企業の業績向上にも関わってくるのです。
ゲームは緊張を和らげるとともに適度な緊張感を作り出します。「適度な緊張は能力を2倍にする」と、精神科医の樺沢紫苑氏が著書『いい緊張は能力を2倍にする』で述べています。
そこで、ちょうどよい緊張感とリラックス状態をつくるための、ゲームの取り入れ方を紹介していきます。
研修会でのゲームの取り入方
ここでは、ゲームを取り入れる際のポイントを紹介します。
気がかりなことを言い合う
研修生のなかには、まだ誰とも馴染めず控えめな方もいます。まずはグループ別にしたりペアを組んだりして少数単位に分けるよう促しましょう。その状況で研修生同士は挨拶をします。とはいえ、初対面の相手になかなか自分をアピ―ルするのは難しいもの。なかには一言二言で自己紹介を済ませてしまう方も少なくないはずです。
そこで一般的な名前や住んでいるところの他に、今自分が気がかりに感じていることを話してもらいましょう。
「今日の研修、難しそう」、「お腹の調子が悪くて心配」、「寝不足で眠くなるかもしれない」などです。不安な気持を話すことによってリラックスできるようになります。また、その話を聞くことによって相手の人がどのような状態なのか知ることができ、自分も安心できる効果があります。
ここでは、ネガティブなことを言っても許される雰囲気を作りましょう。仲間意識が芽生え、協力して研修を受けられるようにすることが目的です。
アイスブレイクゲームを取り入れる
本格的な研修を始める前にちょっとしたアイスブレイクゲームを取り入れるのもポイントです。「アイスブレイク」とはお互いの緊張感を和らげる際に使われるコミュニケーション手法です。
例えば先ほどの挨拶や気がかりなことを伝え合ったことから、相手の情報を整理して他己紹介をします。「他己紹介」とは「自己紹介」を他人がおこなうことを言います。
「○○さんは、昨日の夜眠れず、今日は寝不足です。しかし、眠くならないように眠気覚ましドリンク飲んで本日の研修に挑んでいます。」のように本人に代って周りの人に相手の紹介をします。
他己紹介によってその人のパーソナリティーがより現れ、周りの雰囲気を良くしてくれます。
1時間に1回は休憩を入れ体を動かす
長時間にわたる研修だと、どうしても集中力が途切れてしまいます。集中力は、1時間が目安といわれています。人によって15分しかもたないという意見もあることから、集中力に合わせ、休憩をこまめにはさむようにしましょう。
また昼食をはさんだ後は特に眠たくなってしまうのです。頭をリフレッシュさせるために体を使った簡単なゲームを取り入れるのが効果的です。
簡単なものだとその場でジャンプをします。10回くらい繰り返すと体に血流が巡ってリフレッシュされます。また、座ったままでもできます。両肩をグーっと持ち上げてそのままの状態で止めて5秒数えます。そのあと息を吐きながら一気に力を抜き肩を下すというものです。5セット程度でもリフレッシュできます。
K社の面白い社員研修
横浜にある従業員数500名を超えるサービス業のK社は社内ではなく貸し会議室を利用しユニークな研修を行っていました。
研修の途中に、プロの演出家を呼んで「ドラマセミナー」というのを行います。そのドラマセミナーとは数名の俳優がとある職場のシーンを演じ、それを見ながらコミュニケーションの点で気づいた点を研修生がディスカッションするというものです。
また、実際に研修に参加する社員や役職者の方も一緒に演じるというワークショップもあるといいます。
頭を使い、体を動かしながら周りに見られるという緊張感状況をつくることで、研修内容が身体にしっかり落とし込める効果があるそうです。さらに職場のシミュレーションを研修できることによって、新入社員はスムーズにスタートを切れるということでした。
K社の研修のポイントは2つありました。
1つ目は場所を貸し会議室にした点。
貸し会議室を利用するメリットは3つあるといいます。
①必要なときに必要な大きさのスペースが確保できる。
②ホワイトボードやプロジェクターなどの設備が揃っている。
③研修の種類によってレイアウトを自由にできる。
＊貸し会議室によって設備や利用条件は異なります。
もう1つは、ただ机を並べ座って研修を受けるだけではなく、参加者が主体となれるようなゲームを取り入れた点です。
ぜひ有意義な社内研修にするため、運営側の担当の方はゲームを取り入れた研修を行ってみてはいかがでしょうか。